FTSE Russell のインサイト

グローバル市場を測る英国生まれのインデックス

FTSE 100 Index の 40 周年を記念して、FTSE Russell が最新のインサイトをご紹介します。

Norbert Van Veldhuizen

Head of Equity Index Product, EMEA

FTSE 100 が 40 年にわたって優れたグローバル企業を組み入れてきたことは、称賛に値すべきことです。

  • 外貨獲得という点において多大な影響力を持つ FTSE 100。地元の英国チームをサポートしないに等しい、と論じる
  • FTSE 100 銘柄の国際分散は最近の現象ではなく、むしろ英国のグローバルかつオープンな市場の伝統の継続である
  • FTSE 100 の海外エクスポージャーは強さの源であり、世界を相手に取引ができる英国の力を反映している

国境を超えて経済活動を受け入れている寛容な国は世界にいくつかあります。

香港、ルクセンブルク、シンガポールのように、商品・サービスの取引の中心である小国は、国内総生産 (GDP) の 3 倍から 4 倍の輸出入額が記録されています。

しかし、比較的大きな国はたいてい内向き姿勢です。国内市場が十分な売上と利益を生むため、リスクを冒してまで海外ビジネスを展開する必要性が低いのです。例えば、米国の対GDP貿易比率はわずか25%であり、中国はもう少し高く、37%となっています。[1]

中規模経済国である英国の場合、貿易対 GDP 比率は、55 % で世界平均に近い値となっています。

しかし、2024 年 1 月に 40 周年を迎えた、英国で最も知名度の高い株式インデックス FTSE 100 については事情が少し異なります。

現在、FTSE 100 構成銘柄の売上の 5 分の 4 以上は英国外からもたらされています。[2]

別の言い方をすれば、FTSE 100 を構成する 100 社は、その株式が上場されている国よりも実質的にグローバルな見通しを持っていることが窺えます。

(FTSE 100 は、ロンドン証券取引所のプレミアム市場に上場している企業のうち、時価総額が上位 100 社の企業で構成されています。プレミアム市場への上場には、厳格なコンプライアンスと情報開示要件をクリアする必要があります。)

興味深いことに、中型株の FTSE 250 Index (ロンドン証券取引所プレミアム上場企業のうち、FTSE 100 に次いで時価総額が大きい 250 銘柄で構成) は、より国内に重点を置いたインデックスとなっています。構成銘柄の海外売上高比率は 55% に上り、英国の総貿易高の対 GDP 比率と同程度です。 

FTSE 100 は天然資源 (エネルギー、素材) セクターにオーバーウェイトしているため、世界の経済活動に大きく影響を受けます。 

FTSE 100 はまた、自国通貨の価値変動にも高い感応を示します (英ポンドの価値が下がると、外貨獲得高の価値が為替換算時に急上昇するため、FTSE 100 の値は上昇します)。

FTSE 100 と FTSE 250 の業種ウェイトの比較 (%)

Source: FTSE Russell (2022 年 7 月時点)。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。重要な開示事項についてはページ下部をご確認ください。

FTSE 100 の構成銘柄の多様性と、その収益源の幅広さは意外なものでしょうか? 

一部の市場解説者は「FTSE 100 が外貨獲得高の面で多大な影響力を持っているが、これは地元の英国チームをサポートしないに等しい」として、英国への忠誠心を試す「クリケット・テスト」に落第 (英語)するのと同じようなものだと言います (クリケット・テスト = 保守党の元大臣 Norman Tebbit 氏が考え出した概念) 。

1990 年代、英国のプレミア・リーグが世界各国から優秀なサッカー選手をスカウトした時、熱狂的な愛国主義だったスポーツ・ジャーナリストが不満の声を上げたことを思い出す方もいるでしょう。

今日ではほとんどの人が、外国人選手の参入によって英国サッカーのレベルが引き上げられたと認めるでしょう。外国人選手の参入、そしてレベルの引き上げによってイングランド、スコットランド、ウェールズのナショナル・チームも勢いを高めました。それならば、なぜ英国株式市場は外に目を向けるべきではないのでしょうか?

実際、これまで常に目を向けてきたのです。

経済歴史学者の Leslie Hannah 氏によると [3]、ロンドンの株式市場はこれまで 100 年以上もの間、他国の市場よりもグローバルかつオープンであり続けてきました。  

「1900 年に、4,000 銘柄を超える株式がロンドンで取引されたのに対して、ニューヨーク証券取引所ではわずか 200 銘柄、ベルリンでは約 800 銘柄でした」と Hannah 氏は述べます。 

「ドイツとアメリカでは圧倒的に国内企業が多く、一方英国では、大多数の企業が主に海外で事業を展開していたのです。」

 

1. Trade openness、2019 年 (ourworldindata.org) (英語)

2. 出典: FTSE Russell、2022 年 9 月 30 日時点のデータ。

2. 「Pioneering Modern Corporate Governance: A View from London in 1900」、Leslie Hannah、2007 年 6 月

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