FTSE Russell のインサイト

市場の動乱期と相場を語る FTSE 100

FTSE 100 Index は、算出を開始してから 40 周年を迎えました。これを記念して、市場のエキスパートがご紹介する最新のインサイトと情報をお役立てください。

Norbert Van Veldhuizen

Head of Equity Index Product, EMEA

英国株式市場を代表するこの株式指数は、相場暴落、通貨危機、政治的混乱、パンデミックなど、過去 40 年間で市場の動乱を引き起こした重要な出来事を語る上で欠かすことはできません。

  • トレーダーや投資家が自らポートフォリオを管理するためのツールとして設計された FTSE 100。1984 年の算出開始後、すぐに英国株式市場の健全性を測る英国の代表的指標となる
  • 1980 年代から 1990 年代にかけての英国株の強気相場のほか、市場の暴落、通貨危機、政治的混乱、パンデミックなど激動の時代を経験
  • 金融情勢をリアルタイムで伝達し、歴史的イベントの中でも英国株式市場の正常な運営維持に貢献

1980 年代はケーブルテレビがブームとなり、24 時間放送のニュース、エンターテイメント、音楽番組が登場し、番組制作が活発に行われました。 

1984 年 1 月 3 日に算出を開始した FTSE 100 は、ロンドン市場に上場している銘柄の中でも時価総額が大きく、出来高の多い銘柄を代表するインデックスとして登場しました。すぐにテレビニュース等で取り上げられるようになった同インデックスは、英国株式市場の健全性を測る代表的な指標として注目を集めるようになります。

インターネットが普及した現代、私たちは最新のマーケット情報を当たり前のように入手できます。 

そのため、FTSE 100 が英国株式市場において、いかに画期的であったかを忘れてしまいがちです。 

FTSE 100 が登場する 1984 年 1 月以前は、米国株インデックスの中でも人気が高く、広く利用されていた FT Actuaries All-Share index (現 FTSE All-Share index) さえ、一日に一度しか算出が行われていませんでした。

このような時代に、トレーダーと投資家はポートフォリオやリスクを管理するための新たなツールを突如として手に入れたのです (FTSE 100 は、ロンドン国際金融先物取引所 (LIFFE) で先物取引に使用する先物指標として開発された一面もあります)。

1984 年当初、FTSE 100 Index の基準値は 1,000 からスタートしましたが、英国株の強気相場 (1980~1990 年代) を経て急速に上昇し、2000 年初めには史上最高値となる 7,000 を突破しました。しかし、それは決して順風満帆な道のりはではありませんでした。

1987 年、世界の株式市場が暴落した際、FTSE 100 も夕方の全国ニュースで大きく取り上げられました。

同年 10 月 20 日午前の BBC ニュースで、司会の Philip Hayton は次のように報じました。「欧米各国の政府首脳と株式市場関係者は今日、世界金融危機に歯止めをかけるべく協議を試みたものの、ロンドンでの協議は難航。FT-100 (現 FTSE 100) 指数は前日比マイナス 250 ポイントの記録的な下落となりました。

FT-100 は 2 日間で 22% 急落し、1929 年の世界恐慌以来最大の下げ幅を記録しました。

この 40 年間、英国株式市場では他にも劇的な出来事がありました。 

1992 年に英国が欧州為替相場メカニズム (ECM) からの離脱を余儀なくされたことで、英ポンドは暴落したものの、英国株への影響は限定的だったため、FTSE 100 は「ブラック・ウェンズデー」の起こった 9 月 16 日から年末にかけても上昇曲線を辿っていました。

2008 年の金融危機では 31% の下落を強いられ、算出開始以来最低の年間パフォーマンスを記録しました。ここでの下げ幅は、その後の 2 年間ですでに持ち直されています。

2016 年の EU 離脱を巡る国民投票で離脱支持票の勝利が報じられた際には、取引開始後 1 時間で FTSE 100 が 8% 下落するなど、波乱に見舞われました。その後 2020 年には、新型コロナウイルス感染拡大により FTSE 100 はさらなる下落局面に突入しましたが、政府が金融市場に大規模な経済介入を実施したこともあり、急回復を遂げました。 

これらの歴史に残るイベントの渦中においても、FTSE 100 は、リアルタイムの金融情勢を伝えるインデックスとしての役割を果たし、英国株式市場の機能維持にも貢献したのです。 

世界では株式市場が取引停止を強いられる中、ロンドン証券取引所は常に営業を続けてきました。

今後数十年においても、同規模で歴史に残る出来事が起こることは間違いないでしょう。それが相場上昇の引き金となるか、下落を引き起こすことになるのかは誰にもわかりません。しかし、唯一確かなことは、FTSE 100 はその時も変わらずインデックスとしての役割を果たしていることでしょう。

免責事項

© 2024 London Stock Exchange Group plcおよびそのグループ会社 (以下併せて「 LSEG 」) 。LSEG には、例として (1) FTSE International Limited (FTSE) 、(2) Frank Russell Company (Russell) 、(3) FTSE Global Debt Capital Markets Inc.およびFTSE Global Debt Capital Markets Limited (合わせて「FTSE Canada」) 、(4) FTSE Fixed Income Europe Limited (FTSE FI Europe) 、(5) FTSE Fixed Income LLC (FTSE FI) 、(6) FTSE (Beijing) Consulting Limited (WOFE) 、(7) Refinitiv Benchmark Services (UK) Limited (RBSL) 、(8) Refinitiv Limited (RL) 、(9) Beyond Ratings S.A.S. (BR) 等が含まれます。本書における全ての著作権は LSEG に帰属しています。一切の無断転載を禁じます。

FTSE Russell ®は、FTSE、Russell、FTSE Canada、FTSE FI、FTSE FI Europe、WOFE、RBSL、RL、およびBRが使用している商標です。「FTSE ®」、「Russell ®」、「FTSE Russell ®」、「FTSE4Good ®」、「ICB ®」、「Refinitiv」、「Beyond Ratings ®」、「WMRTM」、「FRTM」、および本書に使用されている他の商標およびサービスマーク (登録済みか未登録かにかかわらず) は全て、LSEG の該当するメンバーまたはそれぞれのライセンサーが所有もしくはライセンスを受けた商標および/またはサービスマークであり、FTSE、Russell、FTSE Canada、FTSE FI、FTSE FI Europe、WOFE、RBSL、RL、もしくはBRが所有またはライセンスに基づいて使用しています。FTSE International Limitedは、金融行動監視機構によりベンチマークの管理者として承認され、規制されています。Refinitiv Benchmark Services (UK) Limitedは、金融行動監視機構によりベンチマークの管理者として承認され、規制されています。

本書の内容は情報提供のみを目的としています。本書に含まれるすべての情報とデータは、LSEG が正確で信頼できると信じる情報源から入手したものです。ただし、人為的又は機械的エラー、もしくはその他に起因するエラーの可能性があるため、これら情報およびデータは、いかなる保証もなく「現状有姿」で提供されるものとします。LSEG のメンバーおよびそれぞれの取締役、役員、従業員、パートナーまたはライセンサーは、情報または LSEG 製品の正確性、適時性、完全性、商品性、または LSEG 製品の使用から得られる結果 (インデックス、レート、データおよび分析を含むがこれらに限定されない) 、もしくは LSEG 製品の特定の目的への適合性や適切性に関して、明示的または黙示的に、いかなる主張、予測、保証、表明も行いません。情報の使用者は、情報の使用から生じる、または情報を使用させたことから生じるすべてのリスクを負うものとします。

 LSEG のメンバー、およびそれぞれの取締役、役員、従業員、パートナー、ライセンサーは、以下のいずれにおいて、いかなる責任も負いません。 (a) 情報またはデータの不正確さ (過失の有無を問わない) やその調達、収集、編集、解釈、分析、修正、転写、送信、通信、配信等の状況、もしくは本書あるいは本書へのリンクの使用に起因又は関連 (全部もしくは一部を問わない) する損失または損害  (b) 直接的、間接的、特別、結果的または付随的な損害 (情報の使用や使用不能に起因する損害の可能性について LSEG のメンバーが事前に知らされていたかを問わない) 

LSEG のメンバーおよびそれぞれの取締役、役員、従業員、パートナー、ライセンサーは、投資助言を提供するものではなく、本書のいかなる記載も、財務上または投資上の助言を構成するものではありません。LSEG のメンバーおよびそれぞれの取締役、役員、従業員、パートナー、ライセンサーは、いかなるアセットへの投資の適否、またはそのような投資が投資家に法的リスクまたはコンプライアンスリスクをもたらす可能性について、いかなる表明も行いません。アセットへの投資の決定は、本書に記載されているいかなる情報にも依存すべきではありません。インデックスおよびレートに直接投資することはできません。インデックスまたはレートに特定のアセットを含めることは、そのアセットを購入、売却または保有することを推奨するものではなく、特定の投資家がそのアセットまたはそのアセットを含むインデックスまたはレートを合法的に購入、売却または保有できることを裏付けるものでもありません。それぞの資格を有している専門家から特定の法律、投資に関する助言を得ることなく、本書に記載されている一般的な情報に基づいて行動すべきではありません。

過去のパフォーマンスは、将来の結果を保証するものではありません。チャートおよびグラフは、説明を補足する目的に限り提供されています。表示されているインデックスおよび/またはレートのリターンは、投資可能なアセットの実際の取引結果を表すものではありません。表示されている一部のリターンは、バックテストされたパフォーマンスを反映している場合があります。インデックスまたはレートの公表開始日前に表示されているパフォーマンスは、全てバックテストされたパフォーマンスです。バックテストされたパフォーマンスは実際のパフォーマンスではなく、仮想的なパフォーマンスです。バックテストの算出は、インデックスまたはレートの公表開始時に実施されていたものと同じ算出方式に基づいています。ただし、バックテストされたデータは、後付けのインデックスまたはレート算出方式を反映している可能性があり、過去データに基づいたインデックスまたはレートの算出は、算出の基礎となる経済データの変動に伴って毎月変化する可能性があります。

本書は、将来の見通しに関する評価が含まれる場合があります。これらは、将来の状況に関する多くの仮定に基づいており、最終的には不正確であることが判明する可能性があります。このような将来の見通しに関する評価は、リスクと不確実性に左右され、実際の結果と大きく異なる可能性のある様々な要因の影響を受けることがあります。LSEG のメンバーおよびそのライセンサーは、将来の見通しに関する評価を最新の状態にする義務を負うことはなく、それを保証することもありません。

本書に含まれる情報のいかなる部分も、LSEG の該当するメンバーの書面による事前の許可なく、いかなる形式または手段 (電子的、機械的、複写、録音、その他方法を問わない) によっても、複製、検索システムへの保存、または送信を行うことはできません。LSEG のデータを使用または配布する場合は、LSEG および/またはそのライセンサーからの許諾が必要です。