Jan Westphal
最新版の Expert Talk から、サードパーティの環境・社会・ガバナンス (ESG) 評価におけるビジネス・インテリジェンスの役割について解説します。
- ビジネス・インテリジェンスは、サードパーティがサプライチェーン・ネットワークにもたらす潜在的リスクについて背景情報と追加的なインサイトを提供できる。
- インサイトによってリスクを明確化し、従来の取引関係を強化するポジティブな要因を特定できる。
- 今後は、持続可能性の原則にコミットし、サードパーティにも同様のコミットメントを求める企業こそが、財務上、経営上、評判上の利益を享受できる。
鍵となるビジネス・インテリジェンス
サードパーティのネットワークは、複数の国にまたがってサプライヤー、ベンダー、請負業者などを含む大規模なものとなる場合があります。この取引関係は事業運営に不可欠であることが多いのですが、相互の結び付きが強まる世界では、こうしたつながりから潜在的リスクがもたらされる可能性があります。
ESG への配慮が引き続き世界的に重視される中、企業は、顧客、投資家、規制当局、一般市民を含むステークホルダーから、持続可能な成長を促進する事業運営を行うだけでなく、サードパーティにも同様の取り組みを求めるよう、ますます強く求められています。
サードパーティがもたらし得る ESG リスクは重大なものとなる場合があり、人権侵害から環境破壊まで多岐にわたります。ネットワーク内のサードパーティが適正な ESG 原則を遵守しない場合、財務上、経営上、評判上の影響などがお客様の企業に及ぶ可能性があります。
そのため、ESG 関連を含むデューデリジェンスを徹底することが不可欠です。しかし、LSEG の Expert Talk で指摘しているとおり、公表されている ESG レポートは必ずしもすべてをカバーしているわけではなく、追加のビジネス・インテリジェンスが必要になる場合もあります。
綿密なインタビューを含むビジネス・インテリジェンスによって、背景情報を確認し、すでに提供されているデータを検証するとともに、サードパーティが進めている ESG 関連の取り組みの実態に関する重要なインサイトを得ることができます。
ビジネス・インテリジェンスの活用場面
ビジネス・インテリジェンスは、お客様のビジネスに影響を及ぼす可能性がある、これまで隠されていたリスクを明らかにすることで付加価値を提供します。このような潜在的リスクを把握すれば、その評価も容易になります。例えば、問題を是正してリスクを軽減したり、取引関係を解消したりすることも可能になります。
同様に、こうした追加のインテリジェンスは、問題のサードパーティとの関係を強めるプラス要因の発見にも役立つ場合があります。
ビジネス・インテリジェンスが即座に付加価値を提供する具体的なケースには、次のようなものがあります。
- サードパーティが戦略的パートナーであったり、ビジネス展開において非常に重要な役割を担っている場合。
- サードパーティのオンライン・プレゼンスが限定されており、データへのアクセスが困難な場合。
- 悪評やネガティブ報道の証拠が存在する場合。
- 開示されている情報が不十分な場合。
- ESG レポートにおいて警戒すべき兆候が明白である場合。
- ESG レポートの内容が過度に肯定的で信憑性に欠ける場合。
必要なときに的確なサポートを提供
サードパーティ・リスクを評価する際、徹底的なデューデリジェンスを実施し、必要に応じて的を絞ったビジネス・インテリジェンスで補完することで、懸念すべき領域が明らかになり、環境汚染、労働・雇用問題、DEI (多様性、公平性、包摂性)、人権侵害などの ESG 関連 リスクを特定できるようになります。
LSEG Due Diligence Centre は、サプライチェーン・リスクとサードパーティ・リスクを管理するソリューションであり、実践的なサポートを提供します。LSEG では、個人と企業の両方について、バックグラウンド・チェック、財務データ、社会的な評判などの有益なインサイトをもたらすデューデリジェンス・レポートを提供しています。各レポートはお客様の個別のビジネス・ニーズに合わせてカスタマイズすることが可能であり、LSEG の Enhanced Due Diligence (EDD) には、重要な要素としてビジネス・インテリジェンスが組み込まれています。
ESGを考慮することが世界的規模でますます重要となる中、企業にとって ESG リスク管理をサードパーティ・リスク管理プログラムの基本的な構成要素として組み込むことは極めて重要です。さらに、企業は ESG 原則に対するサードパーティのコミットメントを包括的に把握するための有益な手段として、ビジネス・インテリジェンスの活用を検討すべきです。
持続可能性の原則を遵守し、サードパーティにも同様の遵守を求める企業は、財務上、経営上、評判上の利益を手にすることになります。
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