Daniel Hartnett
- 絶えず変化するリスク環境は、複雑化・多面化する課題をもたらし続けている
- サードパーティに関連する潜在的なリスクの特定という複雑な課題に対処するために、企業が取り得る最も効果的な戦略とは
サードパーティ・リスクに関する課題の変化
サードパーティ・リスクはこの数年で複雑化の一途をたどり、ますます多面的になっています。
進化するリスク、規制要件の強化、予算の削減、高まる風評被害への懸念が重なることにより、企業は、しばしば広大なグローバル・サプライヤー・ネットワークや流通ネットワークにおけるサードパーティーリスクの評価を任される状況におかれ、しかも迅速に行うことを求められます。
潜在リスクを早期に特定することが重要です。これにより、新たなサードパーティと関係を構築する前に、高度なデューデリジェンスのような追加的調査の必要性を特定することが容易になります。
このようなオンボーディング前のリスク評価は重要ですが、サードパーティ・リスクは一時的な課題ではないことも留意しなければなりません。潜在リスクは変化しやすく、企業に影響を及ぼすリスクは常に変化しているため、サプライ・ネットワーク内の潜在リスクの評価には、継続的なプロセスが求められます。
サイバー・リスク、ESG リスク、 金融リスク、地政学リスクなど、次々と多様なリスクは生じています。贈賄リスク、汚職リスク、制裁リスクなど従来のサードパーティ・リスクの特定・軽減だけでは、もはや十分は対策とは言えません。
変化し続ける環境は、リスクタイプに応じて異なるデータを使用し、管理・評価が求められるため、さまざまな課題をもたらしています。
このような背景から、企業はより複雑なコンプライアンス上の義務にも直面しています。世界中で規制は増加傾向にあり、いまや企業が直接取引するサードパーティだけではなく、サプライチェーン全体のリスクを積極的に管理することが求められているのです。
加えて、コスト圧力の高まりという課題もあります。厳しい経済環境の中で社内リソースが不足する中、企業はますます「少ないリソースで多くを成し遂げる」ことを求められています。
強固なアプローチを採用することはコストと業務負荷の増加につながるかもしれませんが、企業がビジネスのスピードを落とすことなく、効率的でスムーズに潜在リスクを評価することは、依然として極めて重要です。
データとテクノロジーで効果的な対応を
サードパーティ・リスクの管理に欠かせない要素は、リスク環境を管理するための広範なリスク・カバレッジと先進テクノロジーの力を活用した実行可能なスクリーニング・ソリューションの導入です。
テクノロジーが業務プロセスをより迅速化・効率化し業務の混乱を最小限に抑える一方で、包括的で信頼性の高いリスクデータは、サードパーティとの関係について十分な情報に基づく意思決定を行うための鍵となります。
異なるタイプのリスクを効果的に評価するには、そのリスクに対応するデータセットが必要です。これらのデータセットには以下のようなものが含まれます。
- 取引相手が適正な企業であることを確認するための事業概要と企業のデータ – 世界中の稼働中の企業と休眠中の企業両方をカバー
- 迅速かつ効果的にサプライ・ネットワーク内の個人と法人をスクリーニング、モニタリングするためのコンプライアンス・リスク・データ
- サプライ・パートナーに関係する可能性のあるアドバース・メディア・レコード (印刷物およびウェブベース)
- 表面上の所有者以外に中間所有者や実質的支配者が明記された企業の所有者情報 - 法域をまたぐ複雑な所有関係を総合的に把握
- サプライヤーに関連のある法域の潜在リスクを明らかにするカントリー・リスク情報
サイロの撤廃
適切なテクノロジーとデータの確保に加えて、包括的なサードパーティ・リスク管理ソリューションを取り入れることは、企業が検討すべき基本事項です。各種潜在リスクに適切に対処するためのソリューションの設定と確保には、多大な時間、労力、コストがかかるからです。
それ以上に、リスクを単独で評価することは非効率的であり、一部のリスクは完全に監視の目をくぐり抜けてしまう可能性があります。
そのため、様々なリスクを横断的に特定するのに役立つ単一のソリューション、すなわち、複数の異なるデータセットを統合し、サードパーティ・リスクを明確かつ包括的に提供できるソリューションに投資する価値は十分にあると言えます。
そうした投資を実行し、先進的なサードパーティ・リスク管理戦略の策定に積極的に取り組むことができる企業は、コストのかかる事業の中断、規制当局による措置、風評被害に繋がりかねないサード・パーティに関連する不適格要因を効率的に特定するプロセスを導入することで、リスクの軽減を競争上の優位性に変えることができます。
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