デジタル・ウェルス: デジタル機能とパーソナライズ化の調和

2 部構成となる本シリーズの第 2 部のインサイトでは、常に変化する環境で成功を収めるために、最適なデータ、分析、デジタル機能、パーソナライズされたサービスの活用がいかに重要であるかを考察します。

• DX (デジタル・トランスフォーメーション) の加速は、ウェルス業界を形成し続けているが、デジタル・ファーストのアプローチがスピードと効率性、24 時間 365 日の接続を提供する一方で、パーソナライズ化も依然として求められている。 
• LSEG のリサーチは、デジタル機能とアドバイザーの助言の両方が、ウェルス業界において価値を有するとの見解を支持。今後はハイブリッド・モデルが支持を得る時代へ。 
• 本インサイトでは、テクノロジーを効率的に活用し、広範かつ詳細なデータとパーソナライズされたインサイトを配信することで、アドバイザーと投資家の双方をどのようにサポートできるかについて検討。

本シリーズの‌‌第 1 部のインサイト‌‌でも概説したように、投資環境が AI によって再構築されつつある今、テクノロジーの進化がよりゲーム・チェンジャーとしての立場を強めています。ウェルス業界は大規模な DX 時代の過渡期にあり、ウェルス・マネジメント企業とアドバイザーは、テクノロジーに明るい新世代投資家が求めるニーズの変化に対応しなければなりません。それと同時に、カスタマイズ・ソリューションの需要の高まりに対応するパーソナライズされた提案により、デジタル機能とのバランスを取る必要もあります。

ウェルス業界において変化する嗜好や新たなトレンドを取り上げた LSEG の最新リサーチ ^[1] では、AI が担う重要な役割や、今日のウェルス業界を形成する主要なテーマを紹介しています。

投資家とアドバイザーはいずれも、個々の状況や選好が反映された推奨情報を重視するため、パーソナライズされたデータは必要不可欠な要素です。個人のニーズに訴えるようなソリューションを提供するために、データ、分析、コンテンツ、専門知識を顧客に合わせてカスタマイズしなければなりません。

LSEG の調査では、デジタル機能とアドバイザーによるアドバイスの双方がウェルス業界において価値があるとの見解を支持し、今後はハイブリッド・モデルが将来的に支持を集めると予想しています。ハイブリッド型投資モデルは、デジタルとアドバイザーの両要素を取り入れるため、プロバイダーがそれぞれ適切なバランスを取り、データ、テクノロジー、そして人の専門知識を最適化して提供しなければなりません。合理化されたデジタル・サポートを可能にする最先端テクノロジーとパーソナライズされたタッチ・ポイントで絶妙なバランスを取ることが、長期的な成功の鍵となるでしょう。

3 つ目の重要な主要テーマは、信頼です。この信頼の糸は、データとテクノロジーに対する信頼から始まり、アドバイザーと顧客の信頼へと繋がっていく必要があります。今後 3 年間でアドバイザーが提供できる最大の潜在価値は何かという問いに対して、アドバイザーを利用していない回答者の 51% と、利用中の回答者の 45% が「信頼のおける投資助言を提供すること」という項目を選択しています。

以上のテーマを踏まえ、ウェルス業界の企業が昨今の環境下において成功するためには、データ、分析、デジタル機能、パーソナライズされたサービスを適切に活用しなければなりません。 

アドバイザーと運用判断を自ら下す投資家にサービスを提供する次のような企業が該当します。      

• セルフアドバイス・プラットフォーム - 投資の初心者から経験豊富な投資家にまで幅広く提供される、ポートフォリオを自己管理するためのプラットフォーム。多様な投資商品のオンライン取引機能のほか、ツール、リサーチ、マーケット・データなどへのアクセスを提供して投資家をサポートする
• ロボアドバイザー - 高度なポートフォリオ管理アルゴリズムを活用して、自動化された投資助言を提供するオンライン・ウェルス・マネジメント・サービス。デジタル生成された信頼性の高い助言に基づき自ら運用判断を下したい投資家に、コスト効率の良い選択肢を提供する 
• オンライン・ブローカー - アドバイザリー・サービスのほか、デジタル・エンゲージメントを活用して、マーケット・データ、リサーチ、コラボレーション・ツールなどの付加価値サービスを提供する

成功につながる投資判断を行う上での基盤となります。包括的かつ信頼性の高いデータにアクセスできなければ、アドバイザーも投資家も財務健全性を最適化することは難しいでしょう。一方、ウェルス業界関係者はデータの真の価値を引き出すために、関連性の高い情報を絞り込む必要があり、この時こそ、付加価値の高い分析が求められるのです。

業界トップクラスのデジタル体験を提供するには、ビデオ通話やチャット機能、インタラクティブなアプリ、ソーシャル・メディア・エンゲージメントなど、多様な機能を活用しなければなりません。モバイルのアプリからアカウント情報にアクセスするデジタル・ネイティブな個人投資家が増加しているため、モバイル・デバイスからのオムニチャネル接続は、引き続き不可欠な要素です。

• 投資家の 42% (Z 世代に絞ると 63% まで上昇) が、投資プロバイダーを選択する際の最も重要な要因の1つとして、デジタルアプリ、チャネル、ツール、プラットフォームなどの機能を挙げている

とりわけ、これらの機能とパーソナライズしたアプローチのバランスを取ることが重要です。データの真価を引き出し、各投資家のニーズに合わせたシンプルなインサイトを提供する、パーソナライズされたコンテンツを通じて投資家と関わることでサービスは差別化されます。

パーソナライズ化は依然として重要視される要素です。デジタル化の推進は、アドバイザーが投資家に提供する価値を損なうものではないため、ハイブリッド型投資モデルは引き続き支持されることが見込まれます。テクノロジーの効率的な利用は、広範かつ詳細なデータとパーソナライズされたインサイトをもたらし、アドバイザーと投資家をサポートします。 

LSEG は、最先端のデータ、的確なインサイト、厳選されたデジタル・ファーストの機能を組み合わせ、アドバイザーと投資家のそれぞれをサポートします。例えば、当社のビジュアライズ・ソリューションは、関心を引くショート動画を通じてパーソナライズされた体験を各投資家にもたらし、実行可能な投資インサイトを提供します。

継続的なイノベーションにコミットする LSEG は、今後も、変化するウェルス御意会の課題に対応し、データ、デジタル・ソリューション、専門家の知識を適切に組み合わせて提供することで、このダイナミックで競争の激しい業界において、業界関係者が最適な成功を収められるよう支援します。

[1] ThoughtLab による調査。この 2023 年のリサーチは、投資家と投資プロバイダーへのグローバル規模のアンケート調査を含み、国、資産レベル、年齢、ライフスタイル、職業、ジェンダーなどの特徴を不問とした 2,000 名の投資家へのアンケート調査に基づく。