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シームレスな統合で迅速な応答を実現: API セントリックな OEMS の役割

Michael Smith

Global Customer Strategy. Investment Management, Execution Solutions and Equities

はじめに

2024 年後半は、マクロ経済や地政学的な混乱に見舞われると予想されます。米英や多くの EU 加盟国をはじめ、少なくとも 64 か国で国政選挙の実施が予定されており、その選挙結果は今後数年の情勢に大きな影響を及ぼすはずです。さらに、欧州や中東で続く紛争が今後さらにエスカレートするリスクも存在するため、当然市場には緊張感が漂っています。

このような環境下で、アセット・マネージャーやヘッジファンドは市場イベントに迅速に対処、対応する必要に迫られています。これは API セントリックの高度な OEMS テクノロジーを導入することで解決できます。包括的、高機能かつ文書化された API を中心に構築された OEMS プラットフォームで、自社のトレーディング・モデルをさまざまなソースや投資先 (社内、社外を問わず) とシームレスに統合し、戦略を市場イベントに素早く対応させることができます。

TORA – API セントリックなプラットフォーム

TORA はオープンで拡張可能な EMS ベースのアーキテクチャに基づいて構築されたプラットフォームです。API セントリックな OEMS プラットフォームのため、顧客向けに公開される API と社内で使用される API は同一で、システム上の各種サービスに接続可能です。

このようなオープンシステムのアプローチは、TORA の中心的な設計原則となっており、特にシステマティック・トレーディングの領域において、柔軟性を大幅に向上させます。また、拡張可能な基盤により、パフォーマンスを損なうことなく、スループットの増加に自動的に対応できます。この機能の根幹にあるのは、拡張可能なクラウドベースのバックエンド・アーキテクチャであり、これにより企業は単一銘柄、プログラムベースのバスケット注文を問わず、何千もの注文戦略をレイテンシーに影響を与えず、確実に執行できます。

LSEG TORA のプロダクト・マネジメント担当ディレクターのジェイソン・レデルによると、「通常、TORA の API を利用するのは、取引の対象や方法、タイミングといった取引戦略を決定するシステムを持っているお客様」だといいます。「しかし、こうしたシステムをブローカーやアルゴリズム、その他のリソースと統合することは容易ではありません。TORA はマーケット・データや取引所、ポジション、コンプライアンス、リスク制限、その他の必須サービスとシームレスに統合することで、これを簡素化し、マーケットで展開するまでの時間を短縮します。また、API 経由で、ペア・トレーディングやアルゴリズム・トレーディングなどのさまざまな機能にアクセスいただけます。」 (レデル氏)

実際の用途

マーケットの変化に迅速に対応するには、包括的かつ制限のない API が不可欠です。TORA の API は、注文の作成・送信や約定のモニタリングなど、すべての標準要件を網羅しています。さらに、ユーザーは API 経由で直接ポジションを登録したり、注文や RFQ を作成することができ、外部システムへの照会をしなくても、ポジション清算のプロセスを合理化することが可能となります。

「TORA 独自の特徴の一つに、信頼性が高く、豊富な機能のペア API があります」とレデル氏は言います。「これにより、API 内ですべてのパラメーターを用いて、ペア注文の作成、発行、送信、修正、キャンセルを行うことができます。また、約定のモニタリングも可能です。取引が求めるスピードで行われていない場合は、これも API 経由でパラメーターを調整し、取引をより迅速化させることができます。」 (レデル氏)

「ペア API には、マーケット・ペアという機能も付いています。予め定義された特定の市場条件に基づいて取引する従来のペアとは異なり、マーケット・ペアは条件なしで動きます。この機能の主な目的は、ポジションを同じ額面規模の別の商品に移すことであり、特に多数のポジションを迅速に変更する際に便利です。例えば、近々起こる市場イベントにより、米国 5 年国債先物から 10 年国債先物に迅速にシフトするという要件が発動する場合などには、マーケット・ペアにより 5 年国債のポジションを解消すると同時に、10 年国債のポジションを増やし、投資のバランスを維持できます。これらすべてを API で実行でき、金融商品間でのポジション移動から、約定執行モニタリング、リアルタイムの調整まで、完全に自動で行うことが可能です。」 (レデル氏)

その他の活用事例

TORA の API のメリットは他にもあります。注文執行の面では、ファンドがリアルタイムの取引額と自社の取引予測に基づいて、執行比率を自動的に調整したい場合も、TORA で対応できます。API がブローカーのアルゴリズムまたは DMA スライスを用いて、設定済みのパラメーターに基づき、市場に送信する注文を分割し、リスクを自動的に調整して最適な取引執行を行うことができます。

TORA の API が持つ重要な独自機能に、ブローカーのアルゴリズム内のパラメーターへのフルアクセスや登録ができるという点があります。これにより、ブローカー独自の VWAP などに特化したパラメーターを注文に追加することができます。そして、ブローカーがアルゴリズムの更新やパラメーターの変更をした際は、TORA は API を通じて登録機能を提供することで、更新を処理し、ユーザーは追加情報に即時にアクセスできます。

また、ベータニュートラル型ファンドが、1 日を通じたエクスポージャーの変化に合わせてポジションを自動的にリバランスしたり、特定の時間間隔でバスケット毎にリバランスを実行するケースもあります。TORA の API は、アルゴリズムのパラメーターによりバスケット内の個々の注文を管理し、お客様独自のファクター・モデルと OEMS のファクター・モデルを組み合わせ、市場のモメンタムに乗って実行することで、ベータヘッジをより効率的に行います。

ショートセルの局面においては、TORA の API は借入注文もサポートします。ユーザーは、API コールを通じてショートセル注文のための株式を特定し、取引業務をリアルタイムで効率的かつ効果的に管理できます。

インタラクティブな導入フレームワーク

TORA は、インタラクティブな導入フレームワークを提供しており、顧客はキーワードを検索するだけで、ウェブベースのドキュメントを搭載したコーディング環境に直接アクセスし、実験をして有意な結果を確認するサンドボックス機能を利用できます。TORA はこのサンドボックス内で利用開始時にコーディング・サンプルを提供し、お客様はニーズに応じてこれを変更し、本番稼働下のシナリオでテストすることができます。

LSEG TORA の最良執行部門責任者兼バイスプレジデントのパスカル・カイテンの説明によると、「お客様は、API とフロントエンド GUI のいずれかで取引モデル内のパラメーターをコントロールすることにより、非常にハイレベルな自動化と柔軟性を実現できます。例えば、取引意図は API 経由で作成できますが、トレーダーが UI でアクションを起こし、それを API に送ることも可能です (その逆も可能)。UI は、基本的に API のエンドポイントの一つです。この独自のハンドオーバー・メカニズムにより、トレーダーは、TCA (取引費用分析) データなど、API を経由するデータを拡充し、既定のパラメーターに基づいて注文ルーティングに関する推奨データを追加できます。」

統合とカスタマイズ

多くの企業がトレーディング業務において Excel の複雑なスプレッドシートに頼っていますが、TORA の API は、可視化ダッシュボードに加え、VBA と RTD に対応したネイティブ Excel アドインを用いて、Excel 内で直接使用できます。「つまり、お客様は使い慣れたアプリケーション内の論理モデルをそのまま使用し、それらをリアルタイムで TORA にシームレス接続して、すべてを自動的に更新できます。」 (カイテン氏)

また、TORA はお客様との緊密な協力の下、各社の利用事例を十分に理解した上で、API 導入をご案内しており、個々のシステマティック・トレーディングのニーズに最も適した API ワークフローを助言し、内部システムやワークフローに対応した API 統合を行います。

LSEG TORA の API ー 主な特徴

OEMS ソリューションの分野、特にレガシー・プラットフォームにおいては、API が欠如していることが多々あります。TORA の API は、使用例やエンドポイント説明、パラメーター詳細、エラーコードなどの明確で包括的なドキュメントや、複数のプログラミング言語によるライブラリや SDK により、統合しやすい点が特徴です。設計面では、信頼性と安定性が重要な特徴となっています。TORA の API は信頼性が高く、高い稼働率で、エラー処理にも適切に対応し、エラーメッセージが明確なため、開発者が迅速に問題解決に取り組むことができます。また、最も重要な要素であるセキュリティは、OAuth や API キーなどの強力な認証・承認メカニズムと、暗号化データ転送を組み合わせることで、機密情報を保護しています。拡張性の面でも、API がパフォーマンスを損なうことなく、ユーザー増やデータ負荷の増大に伴い増え続けるリクエストを効率的に処理できます。

命名規則やレスポンス・フォーマット、エンドポイント構造に一貫性があるため、開発者の学習速度が加速し、ユーザビリティも向上します。明確なバージョン管理で後方互換性を維持することにより、開発者は既存の統合を損なうことなく、新しいバージョンにアップグレードできます。パフォーマンス面では、高頻度取引環境において極めて重要な高速応答と低レイテンシーに対応し、最適化されたエンドポイントにより処理時間とネットワーク・レイテンシーを最小限に抑えます。

開発者は、開発者フォーラムや専任のサポートチーム、活発なユーザー・コミュニティなど、優れたサポートを利用し、コミュニティに参加することにより、問題を迅速に解決し、ベストプラクティスを共有できます。また、柔軟な機能とカスタマイズ・オプションにより、個別のニーズに応じて API をカスタマイズ可能です。API に組み込まれたモニタリングおよび分析ツールにより、開発者は使用状況、パフォーマンス指標、ログを追跡し、潜在的な問題を事前に特定して対処できます。

このように、TORA の API セントリックな OEMS プラットフォームは、卓越した柔軟性、拡張性、統合機能を備えた、信頼性の高いソリューションです。地政学的な混乱と市場ボラティリティが大きい状況下でも、TORA のイノベーションへの取り組みと包括的なサポートにより、お客様は現在の複雑な取引に的確かつ自信を持って対応できる体制を整えることができます。

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